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ベースアップ評価料が余ったらどうなる?2026年度から繰り越しは原則なし、余りは実績報告の8月までに賃金で|賞与での支払いは条件つき

ベースアップ評価料の収入が、職場の賃上げの額より多かったら、そのお金はどうなるのか。答えを先に書くと、2026年度の改定で翌年度への繰り越しの規定はなくなり、2026年6月〜2027年5月の収入は原則として2027年5月までの賃金改善に使います。患者数の変動などでやむを得ず余った分は、実績報告書を出す8月までに対象職員の賃金改善に充てます。余りを賞与などの一時金で払えるのは、ベースアップを行ったうえで追加のベースアップが難しい場合に限られます(2026年10月3日確認)。

働く人から見ると、余りがあった職場では、夏から秋にかけて一時金を受け取る可能性があります。ベースアップ評価料の全体の仕組みはベースアップ評価料の総まとめで扱っています。

ベースアップ評価料が余ったらどうなるか。2026年度から翌年度への繰り越しは原則なし。2026年6月から2027年5月の収入は2027年5月までの賃金改善に使う。やむを得ず余った分は実績報告書を出す8月までに対象職員の賃金改善に充てる。賞与など一時金での支払いはベースアップを行ったうえで追加が難しい場合に限る。2025年度から繰り越した分は2026年12月までに
繰り越し
2026年度の改定で規定がなくなった(原則は同じ年度で使い切る)
余りの使い道
実績報告書を出す8月までに、対象職員の賃金改善に充てる
一時金
ベースアップを行い、追加のベースアップが難しい場合に限り、賞与などで払える
2025年度の繰越分
2026年12月までに賃金の改善を行う
確認日
2026年10月3日

収入の使い道はベースアップとそれに伴う増加分

施設基準の通知は、ベースアップ評価料の収入について「対象職員の基本給又は決まって毎月支払われる手当(以下、「基本給等」という。)の引上げ(以下「ベア等」という。)及びそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費(事業者負担分等を含む。)等の増加分に用いること。」としています。

疑義解釈資料(その2)問7は、目標の3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)に届かなくても算定できるとしたうえで、収入は「全て」この使い道に充てるよう求めています。職場が収入を賃金以外に使うことは認められていません。

繰り越しは原則なし(2026年度から)

2024年度の改定のときは、翌年度のベースアップのために収入を繰り越すことが認められていました。疑義解釈資料(その2)問6は、2026年度の改定で「翌年度の賃金の改善のために繰り越しを行う場合に係る要件が削除された」ことについて、次のように答えています。

  • 2026年度と2027年度は段階的に収入を引き上げる措置があるので、「令和8年6月から令和9年5月までに得られた収入については、原則として、令和9年5月までの賃金改善に用いる必要がある。」(令和9年度も同様)
  • ただし、患者数などで見積もったのに「患者数等の変動により、当該評価料収入額が確定した後にやむを得ず残余が生じた場合」は、「該当年度の実績報告書を提出する8月までの対象職員への賃金改善分に充当し、当該充当分を含めて報告することとして差し支えない。」

また、施設基準は「6月から翌年5月の1年間に算定した当該評価料による収入を、当該年の4月から翌年3月の賃金改善に充当することは差し支えない。」としています。

お金いつまでに賃金に
2026年6月〜2027年5月の収入原則2027年5月まで(2026年4月〜2027年3月の賃金改善に充ててもよい)
やむを得ず余った分実績報告書を出す2027年8月まで、対象職員の賃金改善に
2025年度から繰り越した分2026年12月まで(改定前の施設基準による)
2027年6月〜2028年5月の収入同じ扱い(「令和9年度についても同様である。」)
施設基準の通知、疑義解釈資料その2 問6・その5 問1から編集部作成(2026年10月3日確認)。※スマートフォンでは横にスクロールできます

2025年度から繰り越したお金は2026年12月まで

2024年度の改定の決まりで2026年度に繰り越した収入について、疑義解釈資料(その5)問1は「令和8年度診療報酬改定前の施設基準に基づき、令和8年12月までに賃金の改善措置を行う必要がある。」としています。2025年度の収入を繰り越した職場では、2026年12月までに、その分の賃金改善があるはずです。

余りを賞与で払えるのは条件つき

施設基準は、余りの扱いについて「ベア等を行った保険医療機関において、患者数等の変動等により当該評価料による収入が上記の増加分に用いた額を上回り、追加でベア等を行うことが困難な場合に限り、賞与等の手当など、ベア等以外の方法による賃金改善を行うことが認められる。」としています。

  • 先にベースアップがあること——ベースアップをせずに、最初から一時金だけで払うことは、この書き方では認められていません
  • 賃金項目を特定すること——「いずれの場合においても、賃金の改善の対象とする項目を特定して行うこと。」
  • ほかの賃金を下げないこと——賃金改善を行う項目以外の賃金項目(業績などで変わるものを除く)の「水準を低下させてはならない。」

なお、看護職員処遇改善評価料(救急搬送の多い病院の看護職員などが対象)は別の決まりで、賃金改善の合計額の3分の2以上を基本給などの引上げで行うこととされています(看護師の処遇改善手当2026)。

働く人にとっての意味

  • 一時金を受け取ることがある——余りがあった職場では、実績報告書の8月までに、賞与や一時金として支払われることがあります
  • 一時金は残業代の基礎に入らないことがある——1か月を超える期間ごとに払われる賃金は、割増賃金の基礎から外れます。毎月の手当との違いはベースアップ手当は残業代・賞与・社会保険料に入る?にまとめています
  • 退職した人——余りを充てる先は「対象職員への賃金改善分」で、その時点で在籍していない人に払うかどうかは、通知や疑義解釈では示されていません。勤務先の賃金規程を確かめてください
  • 説明を求められる——施設基準は、対象職員から照会を受けたとき「書面を用いて説明すること等により分かりやすく回答すること。」を職場に求めています

よくある質問

ベースアップ評価料が余った場合はどうなりますか?
2026年6月〜2027年5月の収入は、原則として2027年5月までの賃金改善に使います。患者数の変動などでやむを得ず余った分は、実績報告書を出す8月までに対象職員の賃金改善に充てます(疑義解釈資料その2 問6、2026年10月3日確認)。
余った分は次の年度に繰り越せますか?
2026年度の改定で繰り越しの規定はなくなり、原則として同じ年度の賃金改善に使います。2025年度から繰り越した分は、2026年12月までに賃金の改善を行う必要があります(その5 問1)。
余りを賞与で払ってもよいのですか?
ベースアップを行った職場で、収入がその増加分を上回り、追加のベースアップが難しい場合に限り、賞与などの手当で払うことが認められています。賃金改善の対象とする項目を特定し、ほかの賃金項目の水準を下げないことが条件です。
3.2%に届かなかったらどうなりますか?
届かなくても算定はできます。ただし、収入は全て、基本給などの引上げとそれに伴う賞与・時間外手当・法定福利費などの増加分に使う必要があります(その2 問7)。

出典

本記事の条件・日付は、上記の公表資料の記載を確認日時点で書き写したものです。余りの有無や支払い方は勤務先ごとに異なり、個別の扱いは勤務先の賃金規程で決まります。当編集部は、記事で取り上げる医療機関・求人サービス各社の関係者ではありません。

更新履歴

  • 2026年10月3日:公開