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看護師の処遇改善手当2026|看護職員処遇改善評価料は継続、対象は救急搬送年200件以上などの病院

看護師の処遇改善手当は、2026年も続くのか。答えを先に書くと、手当の財源になっている「看護職員処遇改善評価料」は、2026年6月の診療報酬改定の後も点数表に残っています。入院患者1日につき1点から340点までの165区分で、病院ごとに区分を計算して届け出ます(2026年9月30日確認)。

ただし、どの職場にもある手当ではありません。対象は、救急医療管理加算を届け出て救急搬送が年200件以上の病院や、救命救急センターなどを置いている病院です。点数は入院患者について算定するので、外来だけのクリニックと訪問看護ステーションは対象外です。2026年に新しくできた「ベースアップ評価料」とは別の仕組みで、両方を届け出ている病院もあります。

看護師の処遇改善手当2026。看護職員処遇改善評価料は2026年6月の改定後も継続。対象は救急搬送が年200件以上などの病院で、入院患者1日につき1〜340点。区分の計算の基準は看護職員1人あたり月1万2,000円。外来だけのクリニックと訪問看護ステーションは対象外
2026年度
継続(2026年6月の改定後も点数表にある)
対象の病院
救急医療管理加算+救急搬送が年200件以上、または救命救急センターなどを置く病院
点数
入院患者1日につき1〜340点(165区分)
計算の基準
看護職員1人あたり月1万2,000円
対象外
外来だけのクリニック、訪問看護ステーション
確認日
2026年9月30日

「処遇改善手当」は給与明細や求人でよく使われる呼び方で、診療報酬の正式な名前は看護職員処遇改善評価料です。「令和8年度」は2026年度です。ベースアップ評価料を含む賃上げの全体はベースアップ評価料の総まとめで扱っています。

ベースアップ評価料との違い

看護職員処遇改善評価料は2022年10月に始まった仕組みで、2024年6月に始まったベースアップ評価料とは、対象の職場も対象者も違います。

看護職員処遇改善評価料ベースアップ評価料
始まり2022年10月2024年6月(2026年6月に見直し)
対象の職場救急搬送が年200件以上などの病院(有床診療所も)届け出た病院・診療所・薬局・訪問看護ステーション
何に対して入院患者1日につき1〜340点初診・再診、入院1日、処方箋、訪問看護の利用者など
対象者看護職員(病院の判断で看護補助者・リハビリ職なども)職場で働く職員(40歳以上の医師・歯科医師・薬局薬剤師などを除く)
使い道基本給・手当・賞与(3分の2以上は基本給等の引き上げ)基本給・毎月決まった手当の引き上げと、それに伴う増加分
2027年6月点数表に2027年の定めは見当たらない2段階目(点数を2倍などにする予定)
医科点数表(抜粋)、「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(抜粋)、厚生労働省の概要資料より編集部作成(2026年9月30日確認)

関東信越の10都県の名簿で数えると、看護職員処遇改善評価料を届け出ていた903病院のうち898病院は、入院ベースアップ評価料も届け出ていました(2026年8月1日時点・編集部集計)。対象の病院で働く看護師にとっては、2つの評価料の収入を合わせたものが賃上げの原資になります。施設基準の通知も、賃金改善の実績は2つの評価料で「共通のもの」として判断するとしています。

対象になる病院(救急搬送が年200件以上など)

施設基準の通知は、次のどちらかに当たる保険医療機関を対象にしています。

  • 救急医療管理加算+救急搬送が年200件以上——救急医療管理加算を届け出ていて、救急車や救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が「年間で200件以上であること。」
  • 救命救急センターなどを置いている——救命救急センター、高度救命救急センター、小児救命救急センターのどれかを置いている

搬送件数は、原則として賃金改善を行う年度の前々年度1年間の実績で見ます(新しく届け出る年度は前年度)。すでに算定している病院は、前々年度が200件に届かなくても、前年度のうち連続する6か月間で100件以上あれば基準を満たすとみなす特例があります(適用した翌年度は使えません)。

点数は、入院基本料・特定入院料・短期滞在手術等基本料(短期滞在手術等基本料1を除く)を算定している入院患者について、1日ごとに算定します。入院患者のいない外来だけのクリニックでは算定できず、訪問看護ステーションは対象の施設に入っていません。訪問看護ステーションの賃上げは訪問看護のベースアップ評価料2026で扱っています。

いくら?(計算の基準は看護職員1人あたり月1万2,000円)

2022年に始まったときの厚生労働省の資料は、この仕組みを「令和4年10月以降収入を3%程度(月額平均12,000円相当)引き上げるための処遇改善の仕組みを創設する。」と説明していました。2026年度の施設基準の通知でも、区分を決める計算の分子は「看護職員等の賃上げ必要額」で、中身は次の式です。

分子(賃上げ必要額)看護職員等の数(常勤換算)×12,000円×1.165
分母1か月の延べ入院患者数×10円
決まるもの分子÷分母の値に応じて、165区分(1点〜340点)のどれを届け出るか
「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第8号・抜粋)第104より編集部作成(2026年9月30日確認)。1点は10円です

通知の式には「(当該保険医療機関の看護職員等の数×12,000円×1.165)」と書かれています。看護職員1人あたり月1万2,000円に1.165を掛けた額が病院に入るように、区分を選ぶ仕組みです。

病院に入った額は、看護職員等の賃金の改善に使わなければなりません。ただし、配り方は病院が決めるので、一人ひとりに月1万2,000円が保証されているわけではありません。病院が看護補助者やリハビリ職にも配れば、看護師1人あたりの額は小さくなることもあります。

対象者(看護職員のほか、病院の判断で看護補助者なども)

  • 必ず対象になる人——「保健師、助産師、看護師及び准看護師(非常勤職員を含む。)」(施設基準の通知)。パートの看護師も入ります
  • 病院の判断で加えられる人——「当該保険医療機関の実情に応じて、当該保険医療機関に勤務する看護補助者、理学療法士、作業療法士その他別表1に定める職員(非常勤職員を含む。)も加えることができること。」とされています。理学療法士・作業療法士のベースアップ評価料は理学療法士・作業療法士のベースアップ2026はいくら?にまとめています
  • 派遣の職員——病院が派遣元と相談・協力して、病院の職員と同じ程度以上の賃金改善を行うなどの条件を満たせば、対象にできます。業務委託(請負)で働く人は対象外です(疑義解釈その1 問2)

給料のどこに出る?(基本給・手当・賞与)

  • 基本給・手当・賞与に使える——施設基準の通知は、「当該評価料の算定額に相当する賃金(基本給、手当、賞与等を含む。以下同じ。)の改善を実施しなければならないこと。」とし、続けて「ただし、退職手当の改善に用いてはならないこと。」としています
  • 3分の2以上は基本給など——「当該評価料による賃金改善の合計額の3分の2以上は、基本給等の引上げ(以下「ベア等」という。)により改善を図ること。」とされています。基本給等は、基本給か毎月決まって支払われる手当のことです
  • 夜勤手当の増額にも使える(2026年から)——厚生労働省の概要資料は「夜勤職員の確保を行う観点から、看護職員処遇改善評価料及びベースアップ評価料による収入を、夜勤手当の増額に用いることを可能とする。」としています。詳しくはベースアップ評価料で夜勤手当は上がる?
  • その年のうちに使う——疑義解釈その2 問6は、評価料の収入について「令和8年6月から令和9年5月までに得られた収入については、原則として、令和9年5月までの賃金改善に用いる必要がある。」と答えています

ベースアップ評価料は、収入を基本給か毎月決まって支払われる手当の引き上げに充てるのが原則です。看護職員処遇改善評価料は賞与でも配れる(3分の1まで)点が違います。給与明細で「処遇改善手当」の名前の手当が付いているか、賞与に上乗せされているかは、病院ごとに異なります。

届け出ている病院は?(関東信越の10都県では約4割)

前回の改定後の資料では、看護職員処遇改善評価料を届け出ていた医療機関は全国で2,799(病院2,789・有床診療所10、令和7年6月3日時点)でした。中医協の分科会の資料(2025年8月21日)は、その区分の分布を「看護職員処遇改善評価料を届け出ている医療機関における、届出区分別の分布は、以下のとおり。」として示しています。

2026年度の改定後はどうか。関東信越厚生局が公開している届出受理医療機関名簿(医科)の表計算ファイルで、編集部が数えました。

都県病院届出あり割合
茨城1696236.7%
栃木1053533.3%
群馬1265241.3%
埼玉34012937.9%
千葉28412744.7%
東京62222636.3%
神奈川32813842.1%
新潟1125650.0%
山梨591932.2%
長野1205949.2%
計2,26590339.9%
関東信越厚生局「届出受理医療機関名簿(医科)」(令和8年8月1日現在)の表計算ファイルより編集部集計(2026年9月30日)。病院は、名簿の病床数の合計が20床以上の医療機関。届出ありは、そのうち看護職員処遇改善評価料(1〜165のどれか)を届け出ていた病院。ほかに有床診療所7か所が届け出ていました

関東信越の10都県では、2026年8月1日時点で、病院の約4割(2,265病院のうち903病院)が看護職員処遇改善評価料を届け出ていました。同じ名簿で入院ベースアップ評価料を届け出ていた病院は2,155(約95%)です。病院で働いていても、処遇改善手当(看護職員処遇改善評価料)の対象になる病院は半分に届きません。前回の全国の数字とは地域も時点も違うため、単純には比べられません。

自分の病院の確かめ方

  • 名簿を見る——地方厚生局の「届出受理医療機関名簿」では、看護職員処遇改善評価料は(看処遇1~165)の略称で受理番号の欄に載ります。名簿の場所と見方はベースアップ評価料が給料に反映されない?にまとめています
  • 病院の説明を確かめる——施設基準の通知は、賃金改善の方法などを職員に周知し、照会を受けたら「書面を用いて説明すること等により分かりやすく回答すること。」を病院に求めています
  • 求人を見るとき——求人票の「処遇改善手当」が、この評価料によるものか、病院独自の手当かは書かれていないことがあります。対象の病院かどうかは名簿でも確かめられます

2027年はどうなる?

ベースアップ評価料は、2027年6月から点数を2倍にするなどの2段階目が点数表に書かれています。一方、医科点数表(抜粋)の看護職員処遇改善評価料(1点〜340点)には、2027年6月以降の扱いを定めた書き方は見当たりませんでした(2026年9月30日確認)。2027年の見通しは看護師の給料は2027年も上がる?で扱っています。

よくある質問

看護師の処遇改善手当は2026年も続きますか?
手当の財源の看護職員処遇改善評価料は、2026年6月の診療報酬改定の後も点数表に残っています(入院患者1日につき1〜340点)。ただし対象は救急搬送が年200件以上などの病院だけで、届け出ている病院で働いている場合に限られます(2026年9月30日確認)。
看護師の処遇改善手当は月1万2,000円ですか?
1万2,000円は、病院が区分を決める計算の基準です(看護職員1人あたり月1万2,000円に1.165を掛けた額)。病院に入った額をどう配るかは病院が決めるので、一人ひとりに1万2,000円が保証されているわけではありません。
クリニックの看護師は対象ですか?
点数は入院患者について算定するため、外来だけのクリニックは対象になりません。クリニックで働く看護師の賃上げは、外来・在宅ベースアップ評価料の仕組みが対象です。入院のある有床診療所は、救急の条件を満たせば対象になります(関東信越の10都県では7か所)。
訪問看護の看護師は対象ですか?
看護職員処遇改善評価料の対象は保険医療機関で、訪問看護ステーションは入っていません。訪問看護ステーションには訪問看護ベースアップ評価料があり、2026年6月からは介護保険の側にも処遇改善加算(加算率1.8%)ができました。
ベースアップ評価料と両方もらえますか?
病院は両方を届け出られます。関東信越の10都県では、看護職員処遇改善評価料を届け出ていた903病院のうち898病院が入院ベースアップ評価料も届け出ていました(2026年8月1日時点・編集部集計)。2つの収入を合わせたものが賃上げの原資になり、給与明細での見え方は病院ごとに違います。
看護補助者も対象ですか?
必ず対象になるのは保健師・助産師・看護師・准看護師(非常勤を含む)です。看護補助者・理学療法士・作業療法士などは、病院が実情に応じて対象に加えることができます。

出典

本記事の点数・条件・日付は、上記の公表資料の記載を確認日時点で書き写したものです。届出の割合は公表された名簿をもとにした編集部集計で、実際の手当の有無や金額は勤務先ごとに異なります。当編集部は、記事で取り上げる医療機関・求人サービス各社の関係者ではありません。

更新履歴

  • 2026年9月30日:公開。同日、夜勤手当と理学療法士・作業療法士の記事への案内を追加