ベースアップ評価料が給料に反映されないと感じたら、まず職場が届け出ているかを確かめます。全国8つの地方厚生局・支局は、届出を受理した医療機関・薬局の「届出受理医療機関名簿」を公開しています。名簿の見方、近畿厚生局の確認ツール、職場に書面で説明を求められる決まりを整理しました(2026年9月29日確認)。">
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ベースアップ評価料が給料に反映されない?職場が届け出ているかは厚生局の名簿で確かめられる

ベースアップ評価料が給料に反映されていない気がする。そう感じたら、確かめる順番は3つです。①職場がベースアップ評価料を届け出ているか、②どの形で払われているか(基本給・手当・夜勤手当、4月からの前倒し)、③職場に説明を求める、です。

職場が届け出ているかは、地方厚生局の「届出受理医療機関名簿」で確かめられます。全国8つの地方厚生局・支局はどれも、施設基準の届出を受理した医療機関・薬局の名簿と、訪問看護ステーションの名簿を公開しています(2026年9月29日確認)。関東信越厚生局の東京事務所は、ベースアップ評価料だけの一覧も出していて、「上記の一覧表に掲載されていない場合は、届出が受理されておりません。」と書いています。

そのうえで、職場には、職員から賃金改善について照会を受けたら書面などで分かりやすく答える決まりがあります。

ベースアップ評価料が給料に反映されないときに確かめる順番。1 職場が届け出ているかを厚生局の届出受理医療機関名簿で見る、2 どの形で払われているかを明細で見る、3 職場に書面で説明を求める。名簿は全国8つの地方厚生局・支局が公開
確かめる順番
①届け出ているか ②払われ方 ③職場の説明
名簿
全国8つの地方厚生局・支局が「届出受理医療機関名簿」を公開
名簿での表示
例:病院は(入ベ1~500)のどれか、診療所は(外在ベⅠ)、薬局は(調剤ベ)
職場の説明
照会を受けたら書面などで分かりやすく答える決まり
確認日
2026年9月29日

ベースアップ評価料は、病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションが職員の基本給などを引き上げるために受け取る診療報酬の点数です。制度の全体はベースアップ評価料の総まとめで扱っています。

「反映されない」と感じる主な理由と確かめ方

考えられる理由確かめ方
職場が届け出ていない地方厚生局の届出受理医療機関名簿で、職場の名前・医療機関コードを探す(下の節)
4月から上がっていた6月からの評価料の収入を4月からの賃上げに充ててよいので、5月と6月の明細では差が見えないことがある。2026年3月ごろの明細と比べる
基本給ではなく手当・夜勤手当で払われている明細の手当の欄を見る。毎月決まって支払われるなら新しく設けた手当でもよい(疑義解釈その7 問3)。交代制勤務の職場は夜勤手当の増額でもよい
3.2%は職場全体の目標制度は一人ひとりの上げ幅を定めていない。3.2%に届かなくても算定できる(疑義解釈その2 問7)。配り方を職場に確かめる
毎年の昇給と区別がつかない年齢や勤続年数による昇給(定期昇給)はベースアップに含まれない。昇給の内訳を職場に確かめる
条例の改正などで遅れているやむを得ない理由がある場合は、年度末までにさかのぼって実施すれば認められる扱いがある(疑義解釈その2 問5)
職場が賃金水準を下げたうえで改善している事業の継続のために賃金水準を下げて改善する場合、職場は「特別事情届出書」を出す決まり
一時金(補助金)と取り違えている「令和7年度医療機関等における賃上げ・物価上昇に対する支援事業」の補助金は、ベースアップ評価料とは別
厚生労働省の施設基準の通知、疑義解釈、「令和8年度診療報酬改定の概要 1.賃上げ・物価対応(賃上げ)」より編集部作成(2026年9月29日確認)

職場が届け出ているかを名簿で確かめる

ベースアップ評価料を算定するには、職場が施設基準を満たして地方厚生局(都道府県事務所)に届け出る必要があります。地方厚生局は、届出を受理した医療機関・薬局の一覧を「届出受理医療機関名簿」として、都道府県ごとの PDF や Excel で公開しています。

厚生局受け持つ都道府県名簿の時点(9月29日に見た版)
北海道厚生局北海道令和8年9月1日現在
東北厚生局青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島令和8年8月1日現在
関東信越厚生局茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野令和8年8月1日現在
東海北陸厚生局富山・石川・岐阜・静岡・愛知・三重令和8年9月1日現在
近畿厚生局福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山令和8年9月1日現在
中国四国厚生局鳥取・島根・岡山・広島・山口令和8年9月1日現在
四国厚生支局徳島・香川・愛媛・高知令和8年9月1日現在
九州厚生局福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄令和8年9月1日現在
各厚生局の「届出受理医療機関名簿」のページより編集部作成(2026年9月29日確認)。8局とも、医療機関・薬局の名簿とは別に訪問看護ステーションの名簿も公開しています。ページの場所は出典欄にあります。※スマートフォンでは横にスクロールできます

名簿の中の書き方

名簿では、届出が受理された施設基準が「受理番号」の欄に略称で載ります。ベースアップ評価料に関わる略称は、関東信越厚生局の略称一覧では次のとおりです。

略称施設基準主な職場
(入ベ1~500)入院ベースアップ評価料(1~500)入院のある病院・有床診療所
(外在ベⅠ)外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)病院・診療所
(外在ベⅠ注)外来・在宅ベースアップ評価料(I)の注5継続して賃上げを行っている病院・診療所
(外在ベⅡ1~24)外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)(1~24)診療所など
(調剤ベ)調剤ベースアップ評価料保険薬局
(看処遇1~165)看護職員処遇改善評価料(1~165)救急医療を担う病院など
関東信越厚生局「届出受理医療機関名簿の受理番号欄における略称一覧」より編集部作成(2026年9月29日確認)。訪問看護ステーションの名簿(関東信越厚生局では「届出受理指定訪問看護事業所名簿」)では、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)が(訪ベ I 1)、その注3が(訪ベ I 1注)のように載ります。※スマートフォンでは横にスクロールできます

探し方のコツ

  • 病院で働く人は「入ベ」と「外在ベⅠ」を探す——入院ベースアップ評価料は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)を届け出ている医療機関が届け出るものなので(施設基準の通知)、両方が載っているかを見ます
  • 名前より番号で探す——PDF では施設名が途中で改行されていることがあり、名前全体では検索に掛からない場合があります。名前の一部、電話番号、医療機関コードで探すか、Excel 版を使うと確実です
  • 「ベ」はカタカナで探す——名簿の PDF の略称はカタカナの「ベ」とローマ数字の「Ⅰ」です。ページの説明文と字が違う場合があるので、うまく見つからないときは「ベースアップ」や医療機関コードで探します
  • 時点を確かめる——名簿は月に1回ほどの更新で、時点が局によって違います(上の表)。九州厚生局は「毎月10日頃更新予定」と書いています。最新の届出が載るまでには時間がかかります

東京都は、ベースアップ評価料だけの一覧もある

関東信越厚生局の東京事務所は、全体の名簿とは別に、ベースアップ評価料だけの一覧(外来・在宅(Ⅰ)と注5、歯科、調剤、訪問看護(Ⅰ)と注3)を公開しています。一覧の見出しは「令和 8年 8月 1日 現在」で、ページには「令和8年8月3日受付分まで」とあります。2026年9月29日に数えると、調剤ベースアップ評価料は5,193件、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)は1,574件、その注5は7,038件、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)は357件、その注3は915件でした(編集部が一覧の件数を数えたもの)。

この一覧には入院ベースアップ評価料が入っていないので、東京の病院で働く人は全体の名簿を見ます。また東京事務所は、メールで届け出た職場のうち一覧に載っていないものについて、「エラー等により届出が受理できていない可能性があります」と書いています。名簿に載っていないときは、まず職場に確かめてください。

近畿は、番号を入れて調べられる

近畿厚生局は「施設基準受理状況の確認ツール」を公開しています。「府県コード(2桁)」と「医療機関等コード(ステーションコード)(7桁)」を入れると、受理しているベースアップ評価料の区分が表示されます。表示されるのは「8月1日時点(9月1日データ抽出)」の内容です。このツールは、医療機関などが自分の請求内容を照らし合わせるために置かれたもので、近畿厚生局が受け持つ7府県だけが対象です。

職場に説明を求める(書面で答える決まり)

厚生労働省の施設基準の通知は、ベースアップ評価料を算定する職場に、賃金改善を実施する方法などを職員に周知し、就業規則の内容も周知するよう求めています。そのうえで「対象職員から当該評価料に係る賃金改善に関する照会を受けた場合には、当該対象者についての賃金改善の内容について、書面を用いて説明すること等により分かりやすく回答すること。」と定めています。

聞くときは、次の点を確かめると話が早くなります。

  • 職場がどのベースアップ評価料を届け出ているか(入院・外来・調剤・訪問看護)
  • 自分の賃金のどの項目(基本給・手当・夜勤手当)を、いくら、いつから上げたか
  • 毎年の昇給(定期昇給)とは別に、ベースアップとして上げた分はどれか

なお、厚生労働省のベースアップ評価料の特設ページは医療機関・訪問看護ステーション・保険薬局向けです。この特設ページと、8つの厚生局のベースアップ評価料と届出受理の名簿のページには、働く人向けの相談窓口は見当たりませんでした(2026年9月29日確認)。日本看護協会の看護職向けのページは「届出に関するご質問は厚生局都道府県事務所にお問い合わせください。」と案内しています。

評価料のお金の使い方の決まり(職場と話すときの土台)

  • 収入は全部、賃上げに使う——疑義解釈その2 問7は、3.2%に届かない場合でも算定できるとしたうえで、評価料で得た収入は全て、基本給または毎月決まって支払われる手当の引き上げなどに用いるよう求めています
  • ほかの項目を下げてはいけない——「当該評価料によって賃金の改善を実施する項目以外の賃金項目(業績等に応じて変動するものを除く。)の水準を低下させてはならない。」とされています
  • 賞与で払うのは例外——ベースアップをしたうえで、患者数の変動などで収入が上回り、追加のベースアップが難しい場合に限られます
  • 算定している月は続ける——疑義解釈その2 問5は「原則として算定開始月から賃金改善を実施し、算定する月においては継続する必要がある。」と答えています

届け出ていない職場もある

ベースアップ評価料は、施設基準を満たして届け出た職場だけが算定できる点数です。前回の改定後の状況として、中医協の分科会の資料(2025年8月21日)は「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)は、病院の約9割、診療所の約4割が届出を行っている。」とし、訪問看護ステーションの届出の割合は約43%でした(2025年7月7日時点)。2026年8月1日時点の関東信越厚生局の名簿で数えると、10都県の訪問看護ステーションの約65%が訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)を届け出ていました(編集部集計・訪問看護のベースアップ評価料2026)。届け出ていない職場では、評価料による賃上げはありません。

2026年6月の改定では、それまで届け出ていた職場も改めて届け出る必要がありました。東京事務所のページも「令和8年5月1日までに届出をした保険医療機関・訪問看護ステーションでも届出直しが必要となりました。」と書いています。

よくある質問

ベースアップ評価料が給料に還元されないのはなぜですか?
考えられるのは、職場が届け出ていない、4月から上がっていて6月の明細では差が見えない、手当や夜勤手当で払われている、3.2%は職場全体の目標で配り方は職場が決める、定期昇給と区別がつかない、といった場合です。職場は、職員から照会を受けたら書面などで分かりやすく答える決まりがあります(2026年9月29日確認)。
ベースアップ評価料の受理はどうやって確かめますか?
職場のある都道府県を受け持つ地方厚生局の「届出受理医療機関名簿」を見ます。病院は(入ベ1~500)のどれか、診療所は(外在ベⅠ)、薬局は(調剤ベ)、訪問看護ステーションは(訪ベ I 1)などの略称で載ります。東京都は東京事務所のベースアップ評価料だけの一覧、近畿の7府県は近畿厚生局の確認ツールでも調べられます。
ベースアップ評価料は毎月変わりますか?
職場が受け取る点数の区分は、職員の数や算定回数が1割以上変わって計算し直すと変わることがあります。一方、評価料で行う賃上げは基本給や毎月決まって支払われる手当の引き上げが原則で、算定している月は続ける必要があります(疑義解釈その2 問5)。
名簿に職場が載っていません。届け出ていないということですか?
そうとは限りません。名簿の時点より後に届け出た場合や、掲載までに時間がかかっている場合があります。東京事務所は、メールで届け出たのに一覧に載っていない職場について、エラーなどで受理できていない可能性があるとしています。まず職場に確かめてください。
近畿厚生局の確認ツールは、ほかの地域でも使えますか?
使えるのは、近畿厚生局が受け持つ福井・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の医療機関などだけです。ほかの地域は、それぞれの地方厚生局の名簿を見ます(2026年9月29日確認)。

出典

本記事の名簿の時点・略称・件数は、上記の公表資料を確認日時点で読んだものです。名簿は毎月更新され、時点は局によって違います。名簿に載っているかどうかは職場の届出の状況を示すもので、一人ひとりの給与額を示すものではありません。当編集部は、記事で取り上げる医療機関・薬局・求人サービス各社の関係者ではありません。

更新履歴

  • 2026年9月29日:公開。同日、東京事務所の一覧の訪問看護の件数と、関東信越の訪問看護ステーションの届出の割合(編集部集計)を追加