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医療事務もベースアップ評価料の対象に|2026年6月から目標5.7%、病院の平均で月16,753円(編集部試算)・委託の職員は対象外

医療事務は、ベースアップ評価料の対象なのか。答えを先に書くと、2026年6月の診療報酬改定から、病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションの事務職員も対象になりました。目標は2026年度に5.7%で、看護師など(3.2%)より高く設定されています。第25回医療経済実態調査の一般病院の事務職員の平均給料(年3,526,947円、月あたり293,912円)に当てはめると、月16,753円になります(編集部試算、2026年9月30日確認)。

ただし、職場全体の目標で、一人ひとりに保証された額ではありません。また、業務委託(請負)の会社から来ている職員は対象外で、派遣の職員は職場が条件を満たせば対象にできます。関東信越の10都県では、2026年8月1日時点で診療所の65.3%が外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)を届け出ていました(編集部集計)。

医療事務のベースアップ評価料2026。2026年6月から事務職員も対象になり、目標は2026年度5.7%。一般病院の事務職員の平均給料は月293,912円で、5.7%にすると月16,753円(編集部試算)。業務委託(請負)の職員は対象外、派遣の職員は条件を満たせば対象
いつから
2026年6月の診療報酬改定から
目標
2026年度に5.7%、2027年度にさらに5.7%(予定)
いくら(目安)
一般病院の平均で月16,753円、診療所(医療法人)で月13,672円(編集部試算)
対象外
業務委託(請負)の職員。派遣は条件つきで対象
確認日
2026年9月30日

「令和8年度」は2026年度です。ベースアップ評価料の全体はベースアップ評価料の総まとめで扱っています。

2024年は対象外、2026年6月から対象に

ベースアップ評価料は2024年6月に始まりましたが、当時の対象は「主として医療に従事する職員(医師、歯科医師、専ら事務作業を行う事務職員等を除く。)」でした。受付や会計、レセプトなど事務の仕事が中心の職員は、2024年の仕組みでは対象外だったことになります。

ただし、事務職員の賃上げの財源がまったく無かったわけではありません。令和6年度改定の全体概要版は、「40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置」として、初診料・再診料や入院基本料などを引き上げていました。また、対象職員の基本給等を目標以上に引き上げた職場は、「40歳未満の勤務医及び勤務歯科医並びに事務職員等の当該保険医療機関に勤務する職員の賃金(役員報酬を除く。)の改善(定期昇給によるものを除く。)を実績に含めることができること。」とされていました。2026年6月からは、事務職員そのものがベースアップ評価料の対象職員になり、目標の率(5.7%)も示されました。

2026年6月の改定で、厚生労働省の概要資料は「事務職員、40歳未満の医師・歯科医師・薬局薬剤師も対象とする。(経営者、役員等は除く。)」としました。目標は「令和8年度に3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)、令和9年度にさらに3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)の賃上げを目指す」です。

2024年6月〜2026年6月〜
事務職員対象外(専ら事務作業を行う事務職員)対象
薬局の事務職員薬局はベースアップ評価料の仕組みの外対象(調剤ベースアップ評価料を新設)
事務職員の目標—2026年度5.7%、2027年度さらに5.7%
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要 1.賃上げ・物価対応(賃上げ)」の新旧対照より編集部作成(2026年9月30日確認)

いくら?(医療経済実態調査の事務職員の平均給料に当てはめる)

中央社会保険医療協議会の第25回医療経済実態調査は、病院・診療所・薬局の職種別に、常勤職員1人あたりの平均給料を調べています。事務職員の数字に目標の率を当てはめると、目安は次のとおりです。

職場(開設者)平均給料(年)月あたり5.7%11.4%
一般病院(全体)3,526,947円293,912円16,753円33,506円
一般病院(医療法人)3,283,062円273,589円15,595円31,189円
一般病院(国立)4,359,699円363,308円20,709円41,417円
一般病院(公立)3,957,106円329,759円18,796円37,593円
一般診療所(医療法人)2,878,412円239,868円13,672円27,345円
一般診療所(個人)2,485,323円207,110円11,805円23,611円
保険薬局(法人)2,316,568円193,047円11,004円22,007円
保険薬局(個人)2,258,406円188,201円10,727円21,455円
中央社会保険医療協議会「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告(令和7年11月26日公表)の概要」の職種別常勤職員1人平均給料年(度)額等(事務職員・前年(度))より編集部作成(2026年9月30日確認)。平均給料は賞与を含まない。月あたりは年額÷12、5.7%・11.4%はその月額に率を掛けた編集部試算(1円未満を四捨五入)。11.4%は2027年度までの2年分(予定)。※スマートフォンでは横にスクロールできます

調査の「前年(度)」は、「令和6年4月から令和7年3月末までに終了した事業年(度)」です。つまり2026年6月の改定より前の給料で、改定後の賃上げの結果はまだ入っていません。目標は職場全体の率なので、配り方しだいで一人ひとりの上がり幅は変わります。2027年度の分には、令和9年度の予算編成で「加減算を含め更なる必要な調整を行う。」という条項があり、確定ではありません(見通しは看護師の給料は2027年も上がる?)。

対象になる人・ならない人

働き方扱い
病院・診療所に雇われた事務職員(受付・会計・医療事務など)対象。年齢の制限はない
パート(非常勤)対象職員から非常勤を除く定めはない
派遣の職員職場が派遣元と相談して同じ程度以上の賃金改善を行うなどの条件を満たせば、対象にできる
業務委託(請負)の会社の職員対象外
薬局の事務職員対象(本部の管理業務だけをする人は対象外)
開設者・法人の役員対象外
施設基準の通知(医科・調剤の抜粋)、厚生労働省の概要資料、疑義解釈その1 問2・その2 問9より編集部作成(2026年9月30日確認)
  • 病院・診療所——施設基準の通知は、対象職員を「当該保険医療機関に勤務する職員(40 歳以上の医師及び歯科医師並びに業務委託により勤務する者を除く。」としています。事務職員には年齢の制限はありません
  • 業務委託(請負)——疑義解釈その1 問2は「なお、業務委託職員(請負業務を行う職員)については対象外とする。」と答えています。病院の受付や会計を外部の会社に任せている場合、その会社から来ている職員は、病院のベースアップ評価料の対象になりません
  • 派遣——同じ問2は、派遣の職員について「当該派遣職員について、派遣元と相談・協力した上で、当該保険医療機関に勤務する職員と同程度以上の賃金改善を行う。」などの要件を満たせば対象にできるとしています。対象にするかは職場の判断です
  • 薬局——調剤ベースアップ評価料は「薬局の薬剤師及び事務職員等の確実な賃上げを図る観点から」新設されました。対象職員からは「事業主、使用者、開設者、管理者、40 歳以上の薬剤師及び業務委託により勤務する者を除く。」とされ、年齢の制限は薬剤師だけです。本部の仕事を兼ねる人は、疑義解釈その2 問9が「主として保険薬局の調剤業務等に直接従事した実績のある月のみ当該保険薬局の対象職員として取り扱う」としています(薬剤師の扱いは薬剤師のベースアップは40歳未満だけ?)

クリニックの医療事務(関東信越の診療所の65.3%が届出)

ベースアップ評価料は、職場が地方厚生局に届け出てはじめて受け取れます。前回の仕組みについて、中医協の分科会の資料(2025年7月7日時点)は「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)は、病院の約9割、診療所の約4割が届出を行っている。」としていました。

2026年の改定後について、関東信越厚生局の2つの一覧から編集部で数えました。医科の診療所(現存)のうち、届出受理医療機関名簿(令和8年8月1日現在)に外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)がある割合です。

都県診療所届出あり割合
茨城県1,38294068.0%
栃木県1,17381669.6%
群馬県1,25585267.9%
埼玉県3,9782,73068.6%
千葉県3,3992,26866.7%
東京都13,2458,06060.9%
神奈川県6,4544,41668.4%
新潟県1,20379265.8%
山梨県57837164.2%
長野県1,25891772.9%
10都県33,92522,16265.3%
関東信越厚生局のコード内容別医療機関一覧表(医科)(令和8年9月1日現在)の診療所のうち「現存」で指定年月日が2026年8月1日以前のものを分母に、届出受理医療機関名簿(医科)(令和8年8月1日現在)に外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(注5を含む)があるものを数えた編集部集計(2026年9月30日確認)

関東信越の診療所のおよそ3分の1は、この時点で届け出ていませんでした。届け出ていない診療所では、ベースアップ評価料のお金は入りません(給料を上げるかどうかは、その職場の判断になります)。前回の約4割は全国・2025年の数字なので、地域と時点が違い、単純には比べられません。診療所には、在宅医療をしない診療所や健診が中心の診療所なども含まれます。

自分の職場で確かめること

  • 雇い主はどこか——給与明細や雇用契約書で、雇い主が病院・診療所・薬局なのか、派遣会社なのか、業務を受けている会社なのかを確かめます
  • 届け出ているか——全国8つの地方厚生局の名簿で確かめられます。見方はベースアップ評価料が給料に反映されない?にまとめています
  • 説明を求める——ベースアップ評価料の施設基準は、職員から照会を受けたら書面などで分かりやすく答えるよう職場に求めています

よくある質問

医療事務はベースアップ評価料の対象ですか?
2026年6月の診療報酬改定から対象です。病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションに雇われている事務職員が対象で、年齢の制限はありません。2024年の仕組みでは、専ら事務作業を行う事務職員は対象外でした(2026年9月30日確認)。
医療事務のベースアップはいくらですか?
目標は2026年度に5.7%です。第25回医療経済実態調査の一般病院の事務職員の平均給料(月あたり293,912円)に当てはめると月16,753円、一般診療所(医療法人)では月13,672円です(編集部試算)。職場全体の目標なので、一人ひとりの額は保証されていません。
2024年は医療事務がベースアップ評価料の対象外だったのはなぜですか?
2024年の仕組みでは、対象を主として医療に従事する職員とし、事務職員などの賃上げは初診料・再診料や入院基本料などの引き上げで手当てする形でした。2026年6月の改定で、事務職員もベースアップ評価料の対象になりました。
パートの医療事務も対象ですか?
対象職員から非常勤を除く定めはありません。職場に雇われているパートの事務職員も対象です。
委託会社から病院に来ている医療事務は対象ですか?
業務委託(請負)の職員は対象外です(疑義解釈その1 問2)。派遣の職員は、病院が派遣元と相談して同じ程度以上の賃金改善を行うなどの条件を満たせば対象にできます。
なぜ事務職員の目標は5.7%なのですか?
厚生労働省の概要資料は、看護補助者と事務職員の目標を5.7%、それ以外を3.2%と示しています。理由を説明した記載は、この記事で読んだ資料の中には見つけられませんでした(概要資料・施設基準の通知・疑義解釈 その1〜その13)。

出典

本記事の条件・日付は、上記の公表資料の記載を確認日時点で書き写したものです。月の目安は調査の平均に目標の率を掛けた編集部試算で、届出の割合は公開された一覧を編集部で数えたものです。実際の支給額は勤務先ごとに異なります。2027年度の分は令和9年度の予算編成などで変わる場合があります。当編集部は、記事で取り上げる医療機関・薬局・求人サービス各社の関係者ではありません。

更新履歴

  • 2026年9月30日:公開。同日、2024年の事務職員の扱い(初診料・再診料などの引き上げ、目標を超えた職場の実績への算入)とよくある質問を追加