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薬剤師のベースアップは40歳未満だけ?管理薬剤師も対象外、40歳は給与月の初日で判定

薬剤師のベースアップは40歳未満だけなのか。答えは働く場所で分かれます。薬局で働く薬剤師は40歳未満だけが対象で、管理薬剤師も対象外です。病院・診療所で働く薬剤師には年齢の制限がありません。

薬局向けには、2026年6月1日に調剤ベースアップ評価料(処方箋の受付1回につき4点)が新設されました。施設基準の通知は、対象職員から「事業主、使用者、開設者、管理者、40 歳以上の薬剤師及び業務委託により勤務する者を除く。」としています。40歳になる月について、厚生労働省は「賃金の支払いの対象となった月の初日時点で、40 歳未満であれば対象職員として扱う。」と答えています(疑義解釈その3 問5、2026年9月27日確認)。

薬剤師のベースアップは40歳未満だけか。薬局の薬剤師は40歳未満だけが対象で管理薬剤師は対象外。病院・診療所の薬剤師は年齢の制限なし。40歳は給与の対象月の初日で判定
薬局の制度
調剤ベースアップ評価料(2026年6月新設)
点数
処方箋の受付1回につき4点(2027年6月から2倍)
薬局で対象外
40歳以上の薬剤師、管理薬剤師、事業主・開設者、業務委託、本部職員・エリアマネージャーなど
40歳の判定
賃金の支払いの対象となった月の初日
病院・診療所
薬剤師に年齢の制限なし
確認日
2026年9月27日

薬局と病院で違う(早見表)

項目保険薬局病院・診療所
評価料調剤ベースアップ評価料(2026年6月新設)外来・在宅ベースアップ評価料、入院ベースアップ評価料
40歳未満の薬剤師対象対象
40歳以上の薬剤師対象外対象(年齢の制限なし)
管理薬剤師・管理者管理薬剤師は対象外医療機関の開設者・管理者、法人の代表者・役員は対象外
事務職員対象(目標5.7%)対象(目標5.7%)
業務委託で働く人対象外対象外
「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(調剤・医科の抜粋)、疑義解釈その1・その2・その4より編集部作成(2026年9月27日確認)。※スマートフォンでは横にスクロールできます

病院・診療所の施設基準の通知は、対象職員から「40 歳以上の医師及び歯科医師並びに業務委託により勤務する者を除く」としていて、年齢で除かれるのは医師と歯科医師だけです。病院や診療所で働く薬剤師は、40歳以上でも対象です。一方、医療機関の開設者・管理者と法人の代表者・役員は含まれないと、疑義解釈その4 問1が答えています。

管理薬剤師は対象外

薬局の対象職員から除かれる人には「管理者」が入っています。疑義解釈その1 問3は「管理薬剤師は対象となるか。」という問いに「対象とならない。」と答えていて、疑義解釈その2 問8も同じ答えです。40歳未満でも、管理薬剤師は調剤ベースアップ評価料の対象職員になりません。

ここでいう「対象外」は、評価料の収入を充てる相手に含まれないという意味です。管理薬剤師や40歳以上の薬剤師の給与をどう決めるかは、薬局の判断です。

40歳になる月はどうなるか

疑義解釈その3 問5は、評価料の算定期間中に40歳になった医師・歯科医師と保険薬局に勤務する薬剤師について「賃金の支払いの対象となった月の初日時点で、40 歳未満であれば対象職員として扱う。」と答えています。

例6月分の賃金7月分の賃金
6月15日に40歳になる人対象(6月1日の時点では39歳)対象外(7月1日の時点で40歳)
7月20日に40歳になる人対象対象(7月1日の時点では39歳)
疑義解釈その3 問5の答えを当てはめた編集部の例(2026年9月27日確認)。誕生日が月の初めの場合など、判断に迷うときは勤め先に確認してください

なぜ40歳で分かれているのか(2024年度からの流れ)

40歳で線を引く扱いは、2024年度の改定から続いています。2024年度の大臣折衝事項(2023年12月20日)は、看護職員や病院薬剤師などのベースアップをベースアップ評価料で支える一方、「40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置分(+0.28%程度)」を、診療報酬全体の改定に含める形にしていました。このとき薬局は、ベースアップ評価料の対象の職場ではありませんでした。

2026年度の改定では、この人たちもベースアップ評価料の対象に移りました。厚生労働省の概要資料は「事務職員、40歳未満の医師・歯科医師・薬局薬剤師も対象とする。(経営者、役員等は除く。)」と書き、薬局の薬剤師と事務職員の賃上げのために調剤ベースアップ評価料を新設しています。

薬局で対象になる人・ならない人

働く人扱い根拠
40歳未満の薬剤師対象(常勤・パートの区別なし)施設基準の通知
40歳以上の薬剤師対象外施設基準の通知
管理薬剤師対象外疑義解釈その1 問3・その2 問8
事務職員対象(目標5.7%)施設基準の通知・改定の概要
事業主・使用者・開設者対象外施設基準の通知
業務委託で働く人対象外施設基準の通知・疑義解釈その1 問2
派遣の職員条件を満たせば対象にできる疑義解釈その1 問2
本部職員・エリアマネージャー対象外(薬局の調剤業務などに直接従事していない管理的業務の専従者)施設基準の通知
本部・エリアの業務を兼務する人薬局の調剤業務などを主にした実績のある月だけ対象疑義解釈その2 問9
「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(調剤の抜粋)と疑義解釈より編集部作成(2026年9月27日確認)。「常勤・パートの区別なし」は、対象職員から非常勤を除く定めがないことによる。※スマートフォンでは横にスクロールできます

施設基準の通知は、本部職員などについて「当該保険薬局における調剤業務等に直接従事していない管理的業務に専従する者(本部職員、エリアマネージャー等)は、対象職員に含めない。」としています。また、ドラッグストアのように店舗販売業を併設している薬局については、「店舗販売業を併設している保険薬局においては、当該評価料により得られる収入を保険調剤に従事する職員の賃上げにのみ用いることとし、店舗販売業に従事する職員の賃上げには用いないこと。」と定めています。

いくら上がるか(目安・編集部試算)

ベースアップ評価料全体の賃上げの目標は、2026年度に3.2%、2027年度にさらに3.2%です(事務職員は各5.7%)。薬剤師の年齢別の所定内給与(令和7年賃金構造基本統計調査)に当てはめると、次のとおりです。

年齢所定内給与(月)2026年度(3.2%)2027年度まで(計6.4%)
25〜29歳328,100円月10,499円月20,998円
30〜34歳334,700円月10,710円月21,421円
35〜39歳376,200円月12,038円月24,077円
所定内給与は令和7年賃金構造基本統計調査(一般労働者・産業計・企業規模10人以上・男女計)の「薬剤師」で、薬局・病院などで働く薬剤師を合わせた数字。3.2%・6.4%を掛けた額は編集部試算(1円未満は四捨五入)で、実際の支給額ではありません。2027年度は予定です(2026年9月27日確認)。※スマートフォンでは横にスクロールできます

この額は、平均的な給与に目標の率を掛けた目安です。3.2%は薬局全体の目標で、一人ひとりへの保証ではありません。調剤ベースアップ評価料は処方箋の受付1回ごとの点数なので、薬局が受け取る額は処方箋の受付回数で変わります。疑義解釈その2 問7は、3.2%のベースアップに届かない場合でも評価料を算定できるとしたうえで、評価料で得た収入は全部、対象職員の基本給などの引き上げに使うよう求めています。

評価料のお金の使い道(薬局の場合)

  • 基本給か、毎月決まって支払われる手当の引き上げ——それに伴う賞与・時間外手当・法定福利費(事業者負担分)の増加分にも使えます。交代制勤務をとっている薬局の夜勤手当は、毎月決まって支払われる手当に準じて扱えます
  • ほかの手当を下げてはいけない——「当該評価料によって賃金の改善を実施する項目以外の賃金項目(業績等に応じて変動するものを除く。)の水準を低下させてはならない。」とされています
  • 賞与などで払うのは例外——ベースアップをしたうえで、処方箋の受付回数の変動などで収入が上回り、追加のベースアップが難しい場合に限って認められています
  • 補助金の分は数えない——「令和7年度医療機関等における賃上げ・物価上昇に対する支援事業」の補助金による部分は、賃上げの実績に含めません

2027年6月からは点数が2倍(予定)

調剤点数表は「令和9年6月以降においては、所定点数の100分の200に相当する点数により算定する。」と定めていて、2027年6月からは処方箋の受付1回につき8点になります。2026年度から続けて算定する薬局は、2027年度の届出書の提出が不要です。

ただし、2025年12月24日の大臣折衝事項は、経済・物価が見通しから大きく変わり医療機関などの経営に支障が生じた場合について、「令和9年度予算編成において加減算を含め更なる必要な調整を行う。」としています。年末の予算編成の結果によっては、2027年6月からの中身が変わる可能性があります。

自分の薬局が届け出ているかを確かめるには

  • 薬局に聞く(書面で答える決まりがある)——施設基準は、対象職員への周知を求めたうえで「対象職員から当該評価料に係る賃金改善に関する照会を受けた場合には、当該対象者についての賃金改善の内容について、書面を用いて説明すること等により分かりやすく回答すること。」と定めています
  • 地方厚生局の一覧を見る——たとえば関東信越厚生局の東京事務所は、調剤ベースアップ評価料を受理した東京都の薬局の一覧を公開しています(2026年8月28日現在・8月3日受付分まで)
  • 明細を並べる——2026年3月ごろの明細と、4月・6月以降の明細を比べます。6月から翌年5月までの評価料の収入を、4月から翌年3月までの賃上げに充てることも認められています

制度の全体はベースアップ評価料の総まとめで、看護師の給料に当てはめた試算は看護師のベースアップ手当はいくら?で扱っています。

よくある質問

40歳以上の薬剤師はベースアップの対象外ですか?
薬局で働く場合は対象外です。調剤ベースアップ評価料の対象職員から、40歳以上の薬剤師が除かれています。病院・診療所で働く薬剤師には年齢の制限がなく、40歳以上でも対象です(2026年9月27日確認)。
管理薬剤師は対象ですか?
対象外です。疑義解釈その1 問3とその2 問8で、厚生労働省は管理薬剤師は対象とならないと答えています。40歳未満でも同じです。
40歳になった月はどうなりますか?
賃金の支払いの対象となった月の初日の時点で40歳未満なら、その月は対象職員として扱われます(疑義解釈その3 問5)。たとえば6月15日に40歳になる人は、6月分は対象、7月分から対象外になります(編集部の例)。
パートの薬剤師も対象ですか?
対象職員から非常勤(パート)を除く定めはないので、40歳未満で管理薬剤師でなければ対象です。業務委託で働く場合は対象外で、派遣の場合は薬局が条件を満たせば対象にできます(疑義解釈その1 問2)。
薬局の事務職員も対象ですか?
対象です。事務職員の賃上げの目標は、2026年度・2027年度それぞれ5.7%です。事務職員には年齢の制限もありません。
薬剤師のベースアップはいつからですか?
調剤ベースアップ評価料の算定は2026年6月1日からです。6月から算定するには、薬局が2026年5月7日から6月1日(必着)までに地方厚生局へ届け出る必要がありました。2027年6月からは点数が2倍になる予定です。

出典

本記事の金額・日付・条件は、上記の公表資料の記載を確認日時点で書き写したものです。年齢別の金額は、公表資料の目標の率を統計の給与に掛けた編集部試算で、実際の支給額を示すものではありません。制度は改定される場合があり、実際の支給額は勤務先ごとに異なります。当編集部は、記事で取り上げる医療機関・薬局・求人サービス各社の関係者ではありません。

更新履歴

  • 2026年9月27日:公開