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看護師のベースアップ手当はいくら?目標3.2%(平均的な月給で約1万円・編集部試算)、個人の保証ではない

看護師のベースアップ手当はいくらなのか。答えを先に書くと、国が決めているのは職場全体の賃上げの目標で、2026年度は3.2%です。看護師の平均的な所定内給与(333,200円・令和7年賃金構造基本統計調査)に3.2%を当てはめると、月10,662円になります(編集部試算)。

2027年度はさらに3.2%が目標で、2年分(6.4%)を合わせると月21,325円です(同)。ただし、これは平均的な給与に目標の率を掛けた目安で、一人ひとりに保証された金額ではありません。誰にいくら配るかは職場が決め、3.2%に届かなくても職場はベースアップ評価料を算定できます(厚生労働省の疑義解釈その2 問7、2026年9月27日確認)。

看護師のベースアップ手当はいくら。2026年度は目標3.2%で月10,662円、2027年度までの計6.4%で月21,325円(看護師の所定内給与333,200円に当てはめた編集部試算)。個人の保証ではない
制度の名前
ベースアップ評価料(給与明細の名前は職場ごとに違う)
2026年度の目標
3.2%(看護補助者は5.7%)
平均的な月給では
月10,662円(編集部試算)
2027年度まで
月21,325円(計6.4%・編集部試算)
試算のもと
看護師の所定内給与333,200円(令和7年賃金構造基本統計調査)
確認日
2026年9月27日

「ベースアップ手当」は給与明細でよく使われる呼び方で、制度の正式な名前はベースアップ評価料です。評価料は病院・診療所・訪問看護ステーションが受け取る診療報酬の点数で、職場はその収入を職員の賃上げに使います。制度の全体はベースアップ評価料の総まとめで扱っています。

月給ごとの目安(編集部試算)

厚生労働省の資料は、賃上げの目標を「令和8年度に3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)、令和9年度にさらに3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)の賃上げを目指す」と書いています。この率を月給に当てはめると、次のとおりです。

月給(所定内給与)2026年度(3.2%)2027年度まで(計6.4%)
250,000円月8,000円月16,000円
279,400円(准看護師の平均)月8,941円月17,882円
300,000円月9,600円月19,200円
333,200円(看護師の平均)月10,662円月21,325円
350,000円月11,200円月22,400円
400,000円月12,800円月25,600円
月給に3.2%・6.4%を掛けた編集部試算(1円未満は四捨五入)。平均は令和7年賃金構造基本統計調査(一般労働者・産業計・企業規模10人以上・男女計)の所定内給与額。2027年度は予定で、年末の予算編成で調整される場合があります。実際の支給額は職場の届出と配り方で変わります(2026年9月27日確認)。※スマートフォンでは横にスクロールできます

所定内給与は、毎月決まって支給される給与から、時間外勤務手当・深夜勤務手当・休日出勤手当・宿日直手当・交替手当を差し引いた額です(令和7年賃金構造基本統計調査の定義)。令和7年の調査で、看護師(男女計・平均42.1歳)の所定内給与は333,200円、残業代などを含む「きまって支給する現金給与額」は365,900円、年間の賞与など(2024年1月〜12月の1年間の分)は856,400円でした。

2027年度の計6.4%は、2026年度の3.2%と2027年度の3.2%を合わせたものです。厚生労働省の算出方法の資料も、入院ベースアップ評価料などの区分を決める計算で、2027年6月以降は職場の月額賃金総額に「1.29×6.4%」を掛けるとしています(1.29は、事業主が負担する法定福利費や、月給に伴って変わる賞与を踏まえた係数)。

「3.2%」は一人ひとりの保証ではない

給料が3.2%上がっていないと感じても、それだけで職場の誤りとは言えません。制度の決まりは次のとおりです。

  • 目標は職場全体の賃金についてのもの——3.2%は、職場の対象職員の賃金を全体でどれだけ上げるかの目標です。制度は一人ひとりの上げ幅を定めておらず、配り方は職場が決めます
  • 届かなくても算定できる——疑義解釈その2 問7は、3.2%・5.7%のベースアップを達成できない場合でも算定できるかという問いに「可能。」と答えています
  • ただし評価料の収入は全部、賃上げに使う——同じ回答は「当該評価料により得られる収入は、全て、対象職員の基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げ及びそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費(事業者負担分等を含む。)等の増加分に用いること。」と続けています
  • 受け取る額は職場ごとに違う——評価料は、初診・再診・入院の1日などごとに算定される点数です。患者の数や職員の数によって、職場が受け取る額は変わります
  • 定期昇給は別——厚生労働省の資料は「年齢や勤続年数が増加したことによる給与の引き上げ(定期昇給)は、ベースアップに含まれない。」としています。毎年の昇給とベースアップは別のものです

給与明細ではどう見えるか(ベースアップ手当・基本給・夜勤手当)

評価料による賃上げは、基本給の引き上げでも、毎月決まって支払われる手当の引き上げでもかまいません。そのため、給与明細での見え方は職場によって違います。

  • 新しい手当として載る——疑義解釈その7 問3は、2026年4月以降に新しく設けた手当に充てることについて「当該手当が一時的に支払われるものでなく、対象職員に対して、決まって毎月支払われる給与(基本給等の一部)であれば、差し支えない。」と答えています。「ベースアップ手当」のような名前の手当が明細に増えるのは、この形です
  • 基本給に含まれる——賃金表を改定して基本給を上げる形です。この場合、明細に評価料の名前は出ません
  • 夜勤手当が増える——2026年度からは、交代制勤務の職場の夜勤手当について「決まって毎月支払われる手当に準じて基本給等に含めて差し支えない。」とされ、夜勤手当の増額にも評価料の収入を使えるようになりました
  • ほかの手当を下げて相殺するのは不可——施設基準は「当該評価料によって賃金の改善を実施する項目以外の賃金項目(業績等に応じて変動するものを除く。)の水準を低下させてはならない。」と定めています

いつから・いつまで

新しい点数での算定は2026年6月1日からです。疑義解釈その2 問5は、賃金の改善について「原則として算定開始月から賃金改善を実施し、算定する月においては継続する必要がある。」と答えています。6月から翌年5月までの評価料の収入を、4月から翌年3月までの賃上げに充てることも認められているので、4月から上がった職場もあります。

条例の改正が必要な場合など、やむを得ない理由で算定開始月から上げられない場合は、その年度末までに算定開始月(または4月)までさかのぼって賃上げすれば、算定開始月から実施したものとみなされます(同じ回答)。

いつまでかについて、制度に終わりの期限は書かれていません。点数表は2026年6月から2027年5月までと、2027年6月以降の点数(2段階目)を定めています。一方、2025年12月24日の大臣折衝事項は、経済・物価が見通しから大きく変わって医療機関の経営に支障が出た場合について「令和9年度予算編成において加減算を含め更なる必要な調整を行う。」とし、令和10年度(2028年度)以降の対応のあり方も検討を深めるとしています。

看護職員処遇改善評価料(もう一つの手当)がある病院も

救急医療を担う一部の医療機関には、2022年10月に始まった「看護職員処遇改善評価料」もあります。救急医療管理加算を届け出て救急搬送が年200件以上の医療機関や、救命救急センターのある医療機関などが対象です。創設時の資料は「令和4年10月以降収入を3%程度(月額平均12,000円相当)引き上げるための処遇改善の仕組みを創設する。」と説明していました。

この評価料は2026年度の改定後も続いています。対象の病院で働く看護師は、ベースアップ評価料とは別に、この評価料による賃上げも受けていることがあります。

自分の給料にいくら反映されたかを確かめるには

  • 職場に聞く(書面で答える決まりがある)——施設基準は「対象職員から当該評価料に係る賃金改善に関する照会を受けた場合には、当該対象者についての賃金改善の内容について、書面を用いて説明すること等により分かりやすく回答すること。」と定めています。賃金改善の方法や就業規則の内容を職員に周知することも求めています
  • 職場が届け出ているかを見る——地方厚生局は、施設基準の届出を受理した医療機関の一覧を公開しています。たとえば関東信越厚生局の東京事務所は、ベースアップ評価料を受理した医療機関などの一覧を公開しています(2026年8月28日現在・8月3日受付分まで)
  • 明細を並べる——2026年3月ごろの明細と、4月・6月以降の明細で、基本給・手当・夜勤手当を比べます

なお、前回の改定後の資料では「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)は、病院の約9割、診療所の約4割が届出を行っている。」とされていました(中医協の分科会、2025年7月7日時点)。訪問看護ステーションの届出の割合は約43%でした。届け出ていない職場では、評価料による賃上げはありません。

よくある質問

看護師のベースアップ手当はいくらですか?
一律の金額は決まっていません。制度の目標は、2026年度に職場全体で3.2%の賃上げです。看護師の平均的な所定内給与333,200円(令和7年賃金構造基本統計調査)に当てはめると月10,662円、2027年度までの計6.4%なら月21,325円です(編集部試算)。実際の額は職場の配り方で変わります(2026年9月27日確認)。
ベースアップ手当はいつから支給されますか?
新しい点数での算定は2026年6月1日からで、原則として算定を始めた月から賃上げを行う決まりです。6月から翌年5月までの評価料の収入を、4月から翌年3月までの賃上げに充てることも認められているため、4月から上がった職場もあります。
ベースアップ手当はいつまでもらえますか?
制度に終わりの期限は書かれていません。点数表は2027年6月以降の点数(2段階目)まで定めています。ただし、経済・物価の状況によって令和9年度(2027年度)の予算編成で調整する条項があり、令和10年度(2028年度)以降の対応も検討するとされています。
給料が3.2%上がっていません。おかしいのでしょうか?
3.2%は職場全体の目標で、届かなくても職場は評価料を算定できます(疑義解釈その2 問7)。ただし、評価料の収入は全部、基本給などの引き上げに使う決まりです。職場は、職員から照会を受けたら書面を用いるなどして分かりやすく答えることになっているので、まず職場に確かめてください。
パートの看護師も対象ですか?
対象職員から非常勤(パート)を除く定めはありません。看護師には年齢の制限もありません。対象外になるのは、業務委託で働く人や、開設者・管理者・法人の役員などです。
ボーナスも増えますか?
基本給などの引き上げに伴って増える賞与の増加分にも、評価料の収入を充ててよいとされています。一方、厚生労働省の資料は、業績に連動して引き上がる賞与は「基本給等」の対象外としています。賞与の決め方は職場ごとに違います。

出典

本記事の金額・日付・条件は、上記の公表資料の記載を確認日時点で書き写したものです。月給ごとの金額は、公表資料の目標の率を月給に掛けた編集部試算で、実際の支給額を示すものではありません。制度は改定される場合があり、実際の支給額は勤務先ごとに異なります。当編集部は、記事で取り上げる医療機関・薬局・求人サービス各社の関係者ではありません。

更新履歴

  • 2026年9月27日:公開